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1998年10月11日
名古屋天白区文化小劇場

ベートーベン/ピアノソナタ第23番「熱情」

  •  熱情はベートーベンの中でも私が一番好きな曲である。もちろん、ベートーベンを代表する曲でもある。

     小泉今日子主演のテレビ番組「少女に何が起こったか」では、ショパンの革命の後の課題曲が熱情の第3楽章だった。このテレビを見て熱情という曲を知った人も多いだろう。

     テレビでは熱情が課題曲となったとき、意地悪な役の長門裕之が、普段は小泉今日子にはピアノをさわらせないのに、わざと長時間ピアノ練習するように仕向け、腱鞘炎にさせてピアノを弾けなくなるようにする、というシーンがあった。小泉今日子の理解者である先生(辰巳卓郎)は、「熱情は手首を痛めやすいから、プロだって5時間が限度なんだ」なんてことを言ってたけど、そうなのか?

     ちなみにこの番組は、石立鉄男が「このうす汚ねぇシンデレラめ!」と叫びながら、小泉今日子をどつきまわすシーンがほとんどだったなぁ。

     話を元に戻そう。

     熱情という大曲は自分にとってはまだまだ無理だと分かってはいたが、挑戦することにした。当然ながらうまく弾けない。

     このころの私は、電子ピアノで練習していた。先生の家はもちろんグランドピアノ。私の電子ピアノはピアノタッチで当時の最高級品。しかし、本物のピアノにかなうわけもない。先生の家で本物のピアノの感覚に慣れたころにレッスンは終了。

     で、グランドピアノを買った。熱情を弾くためにグランドピアノを買ったわけだ(こちらを参照)。

     当時、会社の寮に住んでいた私は、ピアノ購入と同時に部屋探し。なかなかいい物件は見つからなかったが、事務所みたいなところを借りた。これで、本物のピアノを毎日弾くことができると思うと、感無量極まりない。

     ところが、運の悪いことに引っ越して4ヶ月で転勤となり、引越したばかりなのに、また引越しの準備をするはめに。さらに、グランドピアノを置くことができる部屋を探すために、何度か東京へ物件探しに行ったりと、けっこうたいへんだった。また、引越し当日には急性胃腸炎となり、引越し後数日間寝込むというアクシデントもあった。

     ちなみに、ヤマハにピアノの移送をお願いしたら、2週間もかかると言われた。そのため、しょうがなく嫌で嫌でたまらなかったが日通にしたところ3日間で届いたのだが、思い切りへこみを入れられた。この怒りはこちらを参照

     さて、コンサート当日。昨年に続いて、またトリをつとめた私の演奏は予想通りボロボロ。それでも、他の出演者の家族から、去年の演奏よりずっとよかったと言われたときは嬉しかった。

     話は変わるが、とあるレッスンの日、先生から1本のビデオを渡された。

     先生はこれまでに録画した膨大なビデオの整理のため、演奏の最初の部分だけ見て何の曲が収録されているかをチェックしたら、後は早送りといった作業を続けていたそうだ。ところが、1985年のNHKホールでのポリーニの熱情だけは、つい聴き入ってしまったということで、熱情を演奏するのなら参考までにと渡された。

     この演奏はまさに珠玉!

     いつか、このような感動的な演奏をしてみたいものである。

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