嬉 東京マラソン
2008年2月17日、3度目のマラソンに挑戦。フルマラソンは5年ぶりである。昨年から始まった東京マラソンは、まず出場すること自体が難しい。昨年も当選倍率が3倍を超える難関だったが、今年は定員25,000人に対して130,062人もの申し込みがあり、10キロの部も含めると15万人以上が応募している。昨年比64%増。テレビ放映もあり、多くの芸能人も走るので、来年はもっと申し込みが増えるだろう。
昨年は抽選に外れて出場することができなかったが、競争倍率が上がった今年に当選できたのはかなり運がいい。陸上ショップで東京マラソンに出場できることを話すと、店員から「おめでとうございます!」と言われるほどである。
今回のマラソンの目標は、完全完走。過去2回も「完走」はしているのだが、途中で歩いたり、食べたりでタイムは悪かった。今度こそは完全完走でゴールしたい。さらに4時間を切りたい。でも、これはちょっときつめの目標。現実的な目標として4時間30分以内を目指すことにした。
東京マラソンは参加人数が多いため、エントリーは前日までに済ませることになっている。金曜日の夜、エントリーするためにビッグサイトに行ったら、駅前で、
「ゼッケンを5万円で買います」
というオジサンがいた。
もちろん代理出走は認められていないが、ゼッケンさえつけていれば出走できるし、誰が誰だか分からないのも事実である。東京マラソンのエントリー料金は1万円。このオジサンは5万円で買うと言っているが、
東京のど真ん中を走るのは魅力的だが、そこまでするほどのものなのか?
みんな無視して通り過ぎていたが、誰が売った人はいたのだろうか? 悪しき前例にならなければいいのだが。
ちなみに、義母からは、
「何故、売らないの! もったいない!」
と強く非難されてしまった(泣)
ビッグサイトではエントリー受付の他に協賛社がイベントをやっていて、かなりの盛り上り。ウェアなどの販売もあって、すごい人だかりで、マラソンというよりもお祭りである。
さて、マラソン当日。
国際大会に出場するような人にアドバイスを受けたりして、まあ、それなりに練習したので、自己ベストが出ることは確信していたが、直前に、腰を痛めたり、マメが治らなかったり、などなど、
完走できないときの言い訳だけは万全の体制
である。
5時に起床。6時に朝食。ストレッチで十分に体をほぐし、ワセリンを足に塗り捲って、いざ都庁へ。
私は練習でも10キロ過ぎぐらいでマメができてしまい、これがかなり痛い。歩いても痛い。一歩一歩に激痛がはしる。足が痛いからフォームも崩れて、股関節とか他のところも痛くなる。なにかいい方法がないかとインターネットで探したところワセリンがいいらしいので試すことにしたが、結果だけ先に言ってしまえば、
効果は抜群で、マメができても痛くなかった!
ワセリンは長距離走の必須アイテムである。
8時過ぎに都庁へ着くと、すごい人だかり。コスプレランナーにはテレビの取材があったりして、さらに人だかりを作る悪循環。どこかに更衣室があるはずだが、適当に路肩で着替えを済ませるしかない。
荷物はトラックで運んでくれるが、トラックにたどり着くまでがたいへんである。スピーカーからは、
「もうすぐ荷物預かり締め切り時間です」
と流れ続けて不安をあおる。
普通に歩けば1〜2分の距離を10分ぐらいかかって、やっと荷物を預けることができ、トイレに行こうとすると、長蛇の列。20分は待たされた。その間も、スピーカーから、
「まもなく整列終了時間です。間に合わない場合は最後尾からのスタートです」
とまたもや不安をあおる。
トイレ待ちが長いので、多くの人は、木陰に隠れて、というか堂々と立ちション。もちろん私はジェントルマンなのでトイレ待ち。
用を足して、自分の場所(申込み時に申請したタイムによって並ぶ順番が決まっている)に行こうとするが、これまたたいへん。人を突き飛ばしならが前に進む●国人の集団がいたが、このときだけは、石原都知事の三●人発言を支持。
なんとか自分の場所にたどり着いたときは、まさにセレモニー直前。セレモニーでは石原都知事の天気がよくてよかったとか、ランナーの紹介とか去年よりバナナを多く用意しているとかいった話しが続く。
この日は天候もいいが、走る格好をしているので当然薄着。スタート地点は人が多く、おしくら饅頭状態なので、寒くはないが、トイレに行きたくてしょうがいない。しかし、このおしくら饅頭からいったん離れると、二度ともどってこれなさそうなので、我慢するしかない。
トイレを我慢しつつセレモニーが終わるのを待っているとちょっとした声援が。どうやら、東国原宮崎県知事らしい。テレビスタッフと一緒に自分のスタート地点に向かっているようだ。
vipはトイレ我慢もしなくて、いきなりスタートということか。
9時5分、車イスの部がスタート。そして、9時10分、ついにスタート!
しかし、ぜんぜん進まない。1分経過、2分経過、まだ進まない。
それほど人が多いのだ。しばらくして、やっと動き出したが、すり足で移動。スタート地点前になってもやっと歩ける程度のスピードである。
スタート地点直前に、ちょっとした人だかりができている。スタッフが「マラソンの神様です」と初老の男性と中年の女性(両方とも外国人)を紹介していおり、その人とハイタッチをするためにランナーが集まってくるのだが、はっきり言って、
渋滞の原因をさらに作っているだけ!
なぜマラソンの神様と呼ばれるのか知らないが、この二人、どこかで見たことがある。過去のマラソン大会でもスタート地点にいたような気がする。
何者なのか? 実はすごい有名人なのだろうか?
ミーハーな私はマラソンの神様とハイタッチして、(というか道路わきにいたので、必然的にハイタッチをするしかない)、あと数メートルでスタート地点というところまで来た。
スタート〜5Km 27分50秒(ネット)
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スタート地点では、石原都知事と河野洋平衆院議長がにこやかに手を振っているので、ミーハーな私は(というか道路わきにいたので、目が合ってしまった)、大きく手を振ってスタート!
スタートして、なんとか走り出すことはできたが、人が多い。私より前にいる人は私よりタイムがいいはずだが、かなり遅い。一気に数百人ぐらい抜き去る。とは言っても人が多いので簡単に抜くこともできない。人と人の隙間を見つけて掻き分けながら抜くという感じ。まるでスキーのスラロームだ。
スタートするまでかなり待たされたので、トイレに行きたい人はかなりいたようで、コース途中にいくつも設置されている仮設トイレには長蛇の列。
なんと、新宿のガード下で堂々と立ちションしている人がいたが、さすがにこれには驚いた。
天気もよく風もなく、まさにジョギング日より。快調に走って、5キロ地点を追加。公式記録では36分9秒だが、スタートまでの待たされた時間を差し引くと、27分50秒。
5Km〜10Km 27分29秒
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それにしても、なんでこんなに遅い人が前にいるのだろうか。
やはり東京は嘘で塗り固められた街なのか
などと哲学的(どこが!)なことを考えながら走っていると、気象庁の前あたりで2003年世界陸上選手権・マラソン銅メダルの千葉真子さんを発見。ここでもミーハーな私は握手をしてもらって抜き去る。
快調に走り続けるが、トイレに行きたくてしょうがない。仮設トイレがあるたびに行こうと思うのだが、トイレ待ちの長蛇の列を見ると、もう少し走ってからにしようと思い直す。
10キロ地点の直前で、先頭集団とすれ違う。さすがにスピードが違う(当たり前じゃ!)。
10Km〜15Km 27分26秒(ネット)
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12キロ過ぎ、ついに我慢できなくなり仮設トイレへ。仮設トイレはコース上に何箇所もあり、トイレ自体も複数設置されているのだが、ここでも10人以上は並んでいる。
トイレで約2分のロス。
昨年もトイレの数が問題になったようだが、今後もずっとこの問題は続きそうな感じである。
10Km〜15Kmは日比谷から品川までで、東京タワーや増上寺などの観光地があり、道幅も広く、走っていて気持ちがいいところ。
しかし、足に異変が。左足首に違和感が! おなかもちょっとだけ違和感がある。
ま、それほど気にすることはないだろうと、ペースも落とさず走り続ける。
反対車線では、品川を折り返したランナーがたくさん走っているのだが、その中に、ピンクのバニーガールの女性がいたのには驚いた。スタート前でテレビの取材を受けていて、すべて手作りですとか言っていた人だ。ウサギの耳もちゃんとある。
コスプレで走ること自体はどうでもいいのだが、この時点で私とすれ違うランナーは、それなりに早い人たちである。その中をバニーガールが走っているとは・・・
15Km〜20Km 28分45秒
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痛みはあるが、走れないというほどではない。まあ、なんとか持つかな。
20Km〜25Km 30分21秒
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ハーフの通過時間はジャスト2時間(ネット)。
このペースで行けば4時間を切る事ができるのだが、だんだんと気力もなくなってくるところである。
銀座のど真ん中を走るのはどんなものかと思っていたが、意外にも感動はない。普段、歩道を歩いているのと、風景が変わるわけでもないので、こんなものか、という感じ。
25Km〜30Km 32分55秒
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浅草寺の手前で給食があるのだが、バナナの他に人形焼(と思う)もあった。給水や給食の場所は、水浸しになるのはしょうがないのだが、ここだけはアンコも道路に落ちて、足を進める度に「ビチャ」という音と変な粘着があって気持ち悪い。
道路の色もアンコ色に変色していた。
掃除するボランティアの人は大変だろうなぁ・・・
30Km〜35Km 36分57秒
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足の痛みがひどく、さすがに我慢できなくなり、ちょっと歩く。これで完全完走の目標は絶たれたわけだが、ひ弱な自分の体の方が大切である。完全完走はまた次の目標とすることにしよう。
少し歩いて、再び、走りだす。
35Km〜40Km 37分41秒
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銀座や浅草と違って、沿道で応援する人も少ないせいか、ボランティアの人もランナーとハイタッチする人が目立つ。
38キロの給水で、水を飲みながら歩いていると、私を呼ぶ声が!
なんと妻の応援である!
ゴールにいると言ってたが、こんなところにいるとは。スタート地点と違っておしくら饅頭状態は解消されてはいるが、民族大移動状態は変わらない。歩道から離れたところにいた私をよくも見つけたもんだ。
ちなみに、妻の話によると、
すぐ近くで応援していた女性は彼氏が出場していたようで、その彼は外国人で彼女を見つけると熱い抱擁とキスをして走りだした後、もう一度戻って熱い抱擁とキスを繰り返した
そうだ。
ふ〜
40Km〜42.195Km 15分45秒
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4時間35分28秒(グロス)でゴール。ネットでは4時間27分9秒。トイレ待ちが約2分あったので、実質4時間25分といったところか。
残り10キロから、何回か歩いてしまったのは悔やまれるが、目標としていた4時間30分は切ることができた。
ここでも更衣室はあるはずだが、スタッフが混んでいると言うし、天気もいいので、仕方なく、
女性スタッフの目の前で着替え。
着替えた後も、ランナーの進む道は決められている。どうやら、一方通行にして、お迎えの人とちゃんと出会えるようにしているようだ。
いろいろとイベントもやっているようで、「月桂樹を付けて家族と一緒に記念撮影を」と叫んでいるスタッフを横目に、帰路につく。
家に戻って、お風呂に入って、ビールを飲みながらテレビを見ると、まだ走っている人がいた。7時間が関門だから時速6キロ超で歩き続けても「完走」できるのだが、なかなか難しいもんである。
地点名 Point |
スプリット Split |
ラップ Lap |
通過時間 Time |
5km | 00:36:09 | 09:46:09 | |
10km | 01:03:38 | 0:27:29 | 10:13:38 |
15km | 01:33:04 | 0:29:26 | 10:43:04 |
20km | 02:01:49 | 0:28:45 | 11:11:49 |
25km | 02:32:10 | 0:30:21 | 11:42:10 |
30km | 03:05:05 | 0:32:55 | 12:15:05 |
35km | 03:42:02 | 0:36:57 | 12:52:02 |
40km | 04:19:43 | 0:37:41 | 13:29:43 |
Finish | 04:35:28 | 0:15:45 | 13:45:28 |